1 熱くすると木は煙と炭に分かれる
まず、木(竹)は三つの元素からできている。炭素、水素、酸素だ。これらがうまく結ばれ合ってできた大きな固まりが木や竹になるんだ。木(竹)に熱を加えると、この「結び」がほどけて小さな固まりになっていく。その時、水素と酸素がどんどん木(竹)から煙となって出ていくんだ。すると(炭素・水素・酸素)−(水素・酸素)=炭素だけが残る。もっとも全部は出て行かないで少し残ってるんだけどね。要するに木(竹)を熱すると煙と炭素に分かれるということだ。科学用語では、熱で分解するから「熱分解」って言うんだ。ほんとは炭素も抜けて行くんだけど、頑固だから一番最後まで残る。この残った炭素の固まりが炭なんだよ。炭を燃やしても煙は出ないだろう?炭やきによって煙の成分が全部抜けているから、炭を燃やしても煙は出ないってわけ。分かったかな?
2 炭になるときの熱が隣を炭にする
そして、木(竹)が煙と炭に分かれるときにはたくさん熱が出るんだ。熱が出るっていうのは熱くなるってこと。ということは窯の中を熱くして、木(竹)を煙と炭に分けてしまえば、そのときの熱で隣の木(竹)がまた煙と炭に分かれ、そのときの熱でまた隣が分かれて・・・というふうに次々に木(竹)は煙と炭に分かれるということだ。だからある程度窯の中が熱くなれば、もう窯口で火を焚く必要はないということなんだ。窯口で火を焚くのは窯をあっためるためだからね。だから最初1〜2時間窯口で火を焚いて窯が熱くなれば、後は自分たちの出す熱で木(竹)が次々に熱分解していき、炭になっていくというわけだ。
ただ、熱はどんどん外に逃げていく分もあるから、その残りの熱で窯の中が十分熱くなるくらいに火を焚かないと失敗するよ。ちょっとだけ熱くすればいいというもんじゃないんだ。
後はあまり空気が入らないでゆっくり炭化するように窯口を小さくしてやればいい。空気がたくさん入ると炭素が空気中の酸素とくっついて逃げてしまうんだ。ということは、できた炭がスカスカの軽いものになってしまうということだ。ここが腕の見せどころだよ。
3 275度と350度がポイント
炭やきに大事な温度が二つあるんだ。二つだけだから覚えとこう。
最初の温度が275度で、このときの煙の温度は75度以上になる。ビデオの竹酢液がたくさん出ている煙だ。この煙が炭やきには一番大事。この時の熱で木(竹)の中の水がどんどん出てくるから真っ白い水蒸気の煙になる。そして二番目が350度。この時煙の温度はもう200度を超えている。タールがたくさん混じった青っぽい煙だ。
何で二つあるかってのを説明しよう。ちょっと専門的だけどがんばって読んでね。
木(竹)は三つの成分からできている。その三つとはヘミセルロース、セルロース、リグニンだ。覚えにくいからヘミ、セル、リグと呼んでしまおう。木(竹)を熱くするとまず水蒸気が出てくるよね?その時の温度は100度以上になってるわけだけど、このときにまずヘミが分解していくんだ。このとき熱を出すんだけど、その熱はあまり多くないからまだ火を焚いて窯を熱くするのをやめるわけにはいかない。で、熱を送りつづけると今度はセルが分解を始める。このセルの分解で出てくる熱はとても大きくて、この熱でどんどん窯の中が熱くなってくる。実はこのセルがさかんに分解する温度が275度なんだよ。そしてセルがさかんに分解し始めれば、前で火を焚いて熱を送る必要はなくなるんだ。この状態になったらもう窯口を小さくして大丈夫ってわけ。
そして窯の温度がだんだん上がって350度になると、最後のリグがさかんに分解していく。これで木(竹)の成分全部が分解し、煙と炭に分かれたわけだ。すべて分解が終わって窯の中にはもう炭しか残っていないんだから、これで炭やきも終了、後は全部閉じて冷やすだけ、となる。どう?分かったかな?